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「法の目標は平和であり、それに達する手段は闘争である。法が不法からの侵害にそなえなければならないかぎり、しかもこのことはこの世のある限り続くであろう。法は闘争なしではすまされない。法の生命は闘争である。それは国民の、国家権力の、階級の、個人の闘争である」
有名な法思想家であった、イエーリングの「権利のための闘争」の冒頭の文章である。
ただ、イエーリングも「権利のための闘争をむやみにどんな紛争の場合にも行えというのではない。もっぱら権利に対する攻撃が同時に人格に対する蔑視を含むときに限り闘えというものである」と述べている。
またイエーリングは、「権利のための闘争は権利者の自分自身に対する義務であると共に社会に対する義務である」と述べている(日本評論社/小林幸輔・広沢民生訳)。
どうして権利のための闘争が権利者の義務であり、社会に対する義務になるのか、難解ではあるが、イエーリングの「権利のための闘争」を読んで考えていただきたい。
イエーリングの「権利のための闘争」は、他に岩波文庫(村上淳一訳)がある。
私どもも依頼者から争うべきか否か悩まれて相談を受けた時、特に人格に対する蔑視を含む場合には、権利のために闘うことを勧めている。
中村治嵩